副作用にも違いあり?プロペシアとフィナステリド違いまとめ
プロペシア(フィナステリド)はAGA治療薬として有効性が認められていますが、一方で様々な副作用が報告されており、その中でも問題となっているのが「ポストフィナステリド症候群」です。今回は副作用、そしてポストフィナステリド症候群について説明します。
目次
フィナステリドとプロペシアの違い
まず始めに、フィナステリドとプロペシアの違いから保険適用外等、購入される前に知っておきたい部分を簡単にご紹介します。
フィナステリドとは
フィナステリドが配合されている薬は、元々は前立腺肥大や前立腺がんのために、米国の製薬会社メルク社より「フィナステリド」という名前で売り出されていました。
現在でも、前立腺を収縮させたり、前立腺がんの進行を遅らせたりするためにも使用されており、主に経口薬として売り出されています。
しかし、薬効として服用していた患者さんの中から頭髪の抜け毛が大幅に減った、新しい毛が生えてきたという報告を受けて、徐々に発毛剤として認知されてきました。
原料はノコギリヤシが抽出されたエキスで、それを化学合成したものになります。
なので、フィナステリドは「成分名」ということです。
プロペシアとは
AGAに関与する酵素5αリダクターゼは、毛根の毛乳頭という部分と、その脇に位置している皮脂腺に存在しています。
皮脂腺にある5αリダクターゼをI型、毛根に存在しているものはII型とよばれ、II型用5αリダクターゼ阻害剤は、「プロペシア」という名前で米国メルク社が日本へも発売しています。
こちらも経口薬が一般的です。
プロペシアは日本国内での「販売名」になりますから、フィナステリドを含んだ違う商品もあります。
具体的にはジェネリック医薬品として、フィンペシア、エフペシア、フィンカーが挙げられます。
保険適用外の薬品
フィナステリドを使うには医師の診断が必要ですが、医薬品に分類されないため保険の適用がありません。
そのため、クリニックによっても異なりますが、診察料金も含めて1か月で約1万5千円かかります。
フィナステリドはなぜハゲに効くのか?
男性ホルモンの1つであるアンドロゲンは、男性特有の臓器である前立腺を大きくさせる作用があります。
前立腺肥大や前立腺がんがどうしてなるのか正確には解明されていませんが、アンドロゲンが増すために、前立腺肥大やがん細胞に変化してしまう前立腺がんになるというメカニズムは判明されてます。
このアンドロゲンはテストステロンという物質と5αリダクターゼという酵素によって、AGAの原因であるDHT(ジビドロテストステロン)という物質にも変換され、そこから薄毛の傾向が高まっていきます。
そのために、フィナステリドは5αリダクターゼの酵素の生成を阻害することによって、DHTを作らなくさせ、AGAを抑制することができます。
フィナステリドの副作用
フィナステリドの副作用は他の薬に比べると少なく、実際に現在でも使用されている薬であるため臨床データも豊富です。
そのため、他の発毛剤よりは安心であるという前提のもとに売り出されています。
しかし、そうはいっても全く副作用がないわけではありません。
次の項では様々な副作用とその影響をご紹介します。
生殖器に関係する副作用
プロペシア(フィステナリド)は他の副作用に比べて、生殖器に関係する副作用が多く現れる傾向があります。
その副作用には、
・睾丸痛
・男性不妊症・精液の質の低下
・勃起機能不全
・射精障害
・精液量減少
・性欲減退 などの軽度の副作用があります。
これらの副作用のうち、多くは服薬を中止すれば改善がみられるのですが、一部の副作用において、服薬を中止しても症状が続く場合があります(後述)。
副作用のほとんどは「プラシーボ効果によるもの」という説も
プラシーボ(プラセボ・偽薬)効果とは、いわゆる「思い込み」のことです。
特徴としては・・・
・体調は万全なのに「自分は風邪を引いている」と思い込めば本当に風邪を引く。
・逆に睡眠障害のある人に「これは睡眠導入剤です」と偽ってビタミン剤を飲ませると、本当に症状が改善されて眠れるようになる。
つまり、フィナステリドの副作用に当てはめて考えてみると、「飲んだら性欲減退するかもしれない」と思い込んだので、本当に性欲減退してしまったのではないか、という疑惑があります。
肝機能障害
フィナステリドがどうして肝臓に影響し、肝機能障害になるのか、そのメカニズムは未だにはっきりとは解明できていません。
しかし、フィステナリドは肝臓で代謝されるため、肝機能障害が引き起こされる可能性があります。
肝臓は元々体外から入り込んできた有害物質を分解・解毒し無毒化する働きがあります。
そのため、フィナステリドのような人工的に生成された化学物質を解毒することにより肝臓に負担がかかり、肝機能障害を引き起こすのではないかと考えられています。
そのためにも、フィナステリドの服用前に肝臓に異変がないか、しっかり医師に確認してもらうのが良いでしょう。
また、定期的な診断を受けるのも重要です。
コレステロールの上昇
体内には、LDLとHDLというコレステロールが存在しています。
・HDLコレステロールは、血管内にこびりつきそうな脂肪分を体外へ排出する働きを持っており、動脈硬化や心臓病の予防に一役買っている善玉コレステロールです。
・LDLコレステロールは、プラークといわれるコレステロールの塊を血管にこびりつかせ、定着させる働きを持っており、動脈硬化や心臓病、またはメタボリック症候群の原因になる悪玉コレステロールです。
フィナステリドは、肝臓の機能を低下させてしまうため、肝臓内でLDLを体外に排出しようとする機能も衰えてしまいます。
そのため、体内のコレステロールが増えるという副作用が起きてしまいます。
頭痛も一つの副作用
頭痛も実際には、なぜ起こるのか解明されていませんが、副作用として報告されています。
酷い場合には頭痛の他にめまいなどの症状も伴うことがあるので、そのような症状が出たらすぐにかかりつけの病院やAGAクリニックへ連絡し、適切な治療を受けた方がいいでしょう。
体の女性化
「乳房肥大」といい、男性の胸が大きくなってしまう副作用が報告されています。
これは、肝機能の低下により肝臓で分解されなかった女性ホルモンの1種であるエストロゲンが原因といわれています。
また、肝機能低下がかなり進んでしまうと、男性特有の濃い体毛が薄くなってきたり、ひげが産毛のようなひげに変わったりする場合があり、それらを総称して「女性化する」といわれることがあります。
胃腸障害
胃腸が元々弱い人は、フィナステリドを服用した際に胃腸の調子が悪くなり、胃痛や吐き気、膨満感などを引き起こす人がいるようです。
フィナステリドとともに胃腸薬を処方するクリニックも多く、あまり起こらない症状ですが、まれに胃腸障害に悩まされる人がいます。
服用すべきではない人
飲酒習慣のある人
先程も説明した通り、肝機能に障害が出る場合があります。
肝臓への負担がかかりますので、アルコールを分解する際にはより負担が大きくなってしまいます。
服用期間中は飲酒ができませんので、飲酒が習慣づけられている人への治療は困難であると見込めます。
服用しているにもかかわらず飲酒を続けてしまうと、肝臓不全や副作用増加の可能性があります。
飲酒がどうしても止められない人にはオススメできない薬です。
まずは断酒をし、それに慣れてからフィナステリドの服用を始めましょう。
アレルギーを持っている人
薬特有のアレルギーを持っている人は、
かゆみ
・発疹
・蕁麻疹
・血管浮腫
などのアレルギー症状が現れる可能性があります。
これも肝機能障害と同様に、他の薬でも起こりうるものです。
思い込みの激しい人
プラシーボ効果により副作用が起こる可能性が充分にあるので、思い込みが激しい人にはオススメできません。
心配性な人、杞憂がよく起こる人も注意が必要です。
「絶対に治す!」という強い意志を持ち、何事にも動じない冷静な人に向いている治療薬である、と言えるでしょう。
子作りを考えている人
性欲減退や勃起不全が起こり得ますので、これから子供を作ろうと考えている人には難しいでしょう。
フィナステリドによる治療をする前、または完全に治療が終わって副作用が見られなくなってから、心配事がない間に子作りを検討すると良いと言えます。
妊娠中の女性
妊娠中の女性の方は絶対に服用しないでください。
女性は男性ホルモンの量が少ないため、アンドロゲンを阻害する必要はありません。
そのため、フィナステリドは女性が服用しても効果がありません。
しかし、妊娠中の服用や、服用後に妊娠した場合には異常胎児が出産されるという報告もあります。
性機能が未発達のまま生まれたり、発育過程でもそれが起こったりするかもしれません。
女性で抜け毛や発毛などトラブルが気になる方は、フィナステリドを服用するのではなく、クリニックで専門医に相談することをおすすめします。
また、閉経後でしたら妊娠・出産はできないため、処方される可能性はあります。
医師に確認してみましょう。
献血する人
血液中にフィナステリドの成分が含まれるため、献血はしないようにしましょう。
他の人に輸血された場合、同様にフィナステリドの副作用が起こるかもしれません。
未成年者
未成年者への安全性や効能については確立されていませんので、服用不可です。
早い人は10代で薄毛の症状がみられる場合もありますが、危険性が考慮されますので、医師に相談して別の解決策を提案してもらいましょう。
服用前には医師に相談を
以下の方は服用を控えるか、十分に医師と相談の上服用してください。
- 女性(特に妊娠中方)
- 肝臓に持病または肝機能障害を持っている人
- 前立腺肥大や前立腺がんの疑いがある人
- 泌尿器科系の病気や病気の疑いがある人
- 精神病の持病や向精神薬を服用している人
- 血管系の持病がある人(高血圧、血管が炎症しやすい病気、動脈硬化症など)
その他にも、腎臓疾患や糖尿病の人は事前に服用中の薬をクリニックへ伝えるか、持病の担当医師に相談することをおすすめします。
また、AGAだと思っていても、実際には持病のために服用している薬の副作用によって抜け毛が引き起こされている場合もあります。
AGAの診断を受ける際は、自分の持病や現在服用している薬を持参して相談した方がいいでしょう。
ポストフィナステリド症候群
プロペシア(フィナステリド)の服用をやめたにもかかわらず、副作用の症状が改善しないケースがあり、これをポストフィナステリド症候群と呼びます。
特に問題となっている症状は、
- 性欲減退
- 勃起機能不全
- 射精障害などの性機能異常
- 抑うつ症状 です。
実際、日本では薬の注意書きに勃起機能不全、射精障害、性欲減退の3つについて、投与中止後も「持続したとの報告がある」と付け加えてあります。
ポストフィナステリド症候群のはっきりとした原因は特定されていないのが現状で、根本的な治療方法も確立されていません。
ポストフィナステリド症候群に対する治療
ポストフィナステリド症候群の根本的な治療法はありません。
現状で出来ることは、対症療法と生活習慣の改善をして、代謝を高めて自然回復を待つことだけです。
そのために、以下のようなことを心がけると良いとされています。
【生活習慣の改善】 | 【理由】 |
---|---|
カフェイン回避 | 不安感が増加したり、不眠になったりするため |
有酸素運動 | 抑うつを軽減してくれるため |
食事改善 | ビタミン等の栄養素を多く摂るため |
アルコール回避 | アルコール代謝には多くのエネルギーを使うため |
薬の服用はできるだけ避ける | 肝臓に負担をかけないため |
抗うつ剤はできるだけ回避 | 性機能を低下させる可能性があるため |
ポジティブに考える | 健康を取り戻す基礎となる |
暫くの間、生活をシンプルにする | ストレスを減らすため |
自分自身を観察し日記をつける | 行動や気分を悪化させる食物等を回避するため |
対症療法としては、ポストフィナステリド症候群で起こる不安障害やうつ症状には、抗不安薬が有効です。
また、テストステロン値が低下している場合、テストステロン補充療法がありますが、これはオススメできません。
理由として、外からテストステロンを補充してしまうと、体内でのテストステロンの産生力が落ちてしまい、いつまでたっても体内でテストステロンが作られないままになってしまうからです。
ポストフィナステリド症候群になる確率
Persistent sexual side effects of finasteride for male pattern hair loss.[J Sex Med. 2011]によると、
フィナステリドを平均28か月間服用し、服用中止後から調査まで平均40か月の21歳から46歳の健康男性71人に、性機能についてインタビューを行った結果、対象者の94%で性欲低下、92%で勃起機能不全、性的興奮低下、69%でオーガズムの異常を感じたという結果になりました。
この調査はインタビュー形式であり、正確性に欠ける部分もありますが、この数値の高さは(程度は人によって違うかもしれませんが)かなりの確率でポストフィナステリド症候群になることを示唆するものとなっています。
フィナステリド以外での改善方法
フィナステリドを服用することで順調に増毛効果を感じている人もいる一方、副作用により服用を止めた、服用して後悔した、というユーザーの声もよく見かけられます。
どんな薬においても、副作用が起こり得ることを念頭に置いておく必要があります。
フィナステリド以外に改善する方法はあるので紹介します。
副作用がどうしても気になる、服用が怖い、と思う方は是非とも以下の方法を実践してみてください。
育毛剤
育毛剤にも商品や成分によっては副作用が起こる場合があるかもしれませんが、現在は改良に改良を重ね、副作用が出にくい、または全く出ないと言い切れるものも販売されています。
よく比較、検討をし、自分に合ったものを使ってみましょう。
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病院での治療
ただ薬だけを服用するよりも、病院で総合的に診断、治療してもらうのが最善です。
時間や金銭的に余裕がある方は、まず病院を頼ってみましょう。
薄毛の悩みが深刻な方や、様々な育毛剤を試した結果、効果が出なかった方が、最...
まとめ
フィナステリドは、元々前立腺を収縮させるために使用されている薬の薬効を上手く利用した薬です。
主成分は5αリダクターゼ阻害剤というホルモン生成阻害剤であり、AGAの原因であるとされるDHTの生成を阻害し、抜け毛の周期を遅らせる働きをしています。
副作用が少ないといわれている薬ですが、肝臓に負担がかかり肝機能障害により引き起こされる副作用が多いです。
肝臓や他の臓器に持病などがある場合には、AGA専用クリニックやAGA治療を行う病院に薬を持参して、フィナステリドを服用して大丈夫かどうか相談してください。
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最終更新日: 2021-03-24
タグ:
プロペシア
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AGA・若ハゲの治療
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