父親がハゲなら若ハゲの危険?髪質はどこまで遺伝するのか
父親の髪が薄いと、「いずれ自分も…」と心配する男性は少なくありません。 確かにDNAには刻み込まれているのかもしれませんが、遺伝は絶対的なものなのでしょうか。 実は、AGAの研究で新たなことがわかっているのです。
目次
髪質は遺伝するのか
遺伝に関しての研究は、まだまだ発展途中です。
日本では慶應義塾大学や大阪大学で双子を題材にした遺伝子研究が進められていますが、完全に解明されるまでにはあと10~20年かかるといわれています。
疾病の罹りやすさや能力、性格などの人の表現型は遺伝因子と環境因子が関わっています。
遺伝子因子(DNAの延期配列:遺伝子多型)に関しては、2003年ヒトゲノム解読以降、著しい進歩によって、遺伝因子と表現型との関係が次々と明らかにされています。
おそらく今後10年20年後でほぼ全てが解き明かされると予測されます。
一方、環境因子に関しては、環境因子が後天的に遺伝子の発現を変化させ、表現型を変えることがわかってきました。
つまり、環境により病気に関係する遺伝子のスイッチがオン・オフに変わるのです。
(大阪大学大学院医学系研究科付属 ツインリサーチセンター)
一方、スウェーデン双子レジストリーでの研究によると、一卵性双生児でも同じ病気に罹るとは限らないことから、環境的要因が発症に影響を及ぼすとしています。
一卵性双生児は全く同じ遺伝子を共有している。
つまり、ある病気が完全に遺伝子由来であれば、双子の両方が同じ発病リスクを持つはずだ。
しかし、通常は遺伝子と環境的な要因の両方が影響を及ぼす。
最近の研究によると、一卵性双生児の片方が認知症の場合、もう一方がこの種の認知障害を発症する確率はおよそ50%だということが分かった。
これは遺伝子が認知症の原因の一部でしかないことを示唆している。引用元: jp.wsj.com
つまり、これをハゲにあてはめると、ハゲる遺伝子は引き継がれても、環境によってそれを回避できる可能性が高いということです。
薄毛の遺伝子
薄毛の遺伝子と考えられているものは2つあります。
この2つを親から受け継いでしまった場合、若ハゲになる可能性が高くなります。
薄毛の遺伝子① 母方の遺伝子を引き継ぐ
フランスなどでの研究によって、「薄毛になる人とならない人では、X染色体にあるアンドロゲンレセプター(受容体)が大幅に違う」ということが発見されました。
アンドロゲンレセプターとは、簡単にいうと睾丸や副腎から分泌された男性ホルモンを、細胞内で利用できるように変換するメカニズムのことです。
アンドロゲンレセプターの感受性が高いほど男性ホルモンの影響を受けるため、薄毛になりやすいのです。
また、「X染色体」とは母親から受け継ぐ遺伝子です。
つまり、父親ではなく母親の遺伝子が髪の毛の髪質を左右するのです。
母親の男性親族が薄毛やハゲの場合、その遺伝子を男の子が引き継ぐ可能性があります。
ただし、下図のように遺伝しない場合もあり(弟の場合)、こればかりは運としかいえません。
薄毛の遺伝子② 5α-リダクターゼの活性力
もう一つ、遺伝が関係するものに5α-リダクターゼの活性力があります。
男性ホルモンのテストステロンは、20代後半頃から一気に減ることがわかっています。
すると不足分をカバーするために、テストステロンは5α-リダクターゼ酵素と結合し、DHT(ジヒドロテストステロン)を作り出そうとします。
なぜなら、DHTはテストステロンの10~30倍強力な男性ホルモンだからです。
この時の5α-リダクターゼの活性力は優性遺伝とされ、親がこの酵素に関して強い活性力を持っている場合、子供にも遺伝される確率が高くなります。
つまり、若ハゲになる可能性があるということです。
薄毛の遺伝子2つを受け継いだ場合
このうちの片方であればまだ良いのですが、両方とも受け継いだ場合、テストステロンと5α-リダクターゼが結合しやすくなるためDHTが増え、さらにDHTが受容体と結合して「TGF-β」という脱毛因子が生成されやすくなります。
これは強力な脱毛促進物質なので、薄毛になり始めるとあっという間に進行してしまいます。
実際には遺伝と後天的生活習慣で決まる
こう見てみると、母方の遺伝子の影響で薄毛になりやすいことがわかりますが、母方の男性親族にハゲがいなくても、子供が若ハゲになることがありますね。
これは、後天的生活習慣によるものが大きいのです。
生活習慣が乱れている
男性ホルモンのテストステロンには髪を強く太くする働きがありますが、20代後半から減少してしまうため、元々薄毛になりやすいのです。
そこにこんな要因が重なると、若ハゲになる危険性が高まります。
・頭皮の不衛生
・食生活の乱れ
・頭皮の血行不良
食生活が乱れて動物性食品ばかり摂っていると脂肪過多となり、頭皮からの皮脂が過剰分泌されてしまうため、毛穴が詰まったり雑菌が繁殖して頭皮環境が非常に悪くなり、若ハゲにつながります。
また、そういった食事はコレステロールや中性脂肪を血管壁にこびりつかせてしまいます。
すると血管が細くなったり血栓ができやすくなるため血流が悪くなり、頭皮が血行不良を起こしてしまうのです。
父親と生活習慣が似ている
父親がハゲていて、その父親に生活習慣が似ていると薄毛になりやすくなるといわれています。
例えば、野菜を食べずに肉ばかり食べる、毎晩浴びるほどお酒を飲む、いつも遅くまで起きているといった髪に悪い習慣や行動が似ていると、ハゲやすくなるのです。
父親のハゲは遺伝しませんが、父親がハゲているのはもしかしたら父方の祖母の遺伝子のせいではなく、生活習慣が原因かもしれません。
その場合、生活習慣や嗜好性が似ていると子供もハゲやすくなるのです。
遺伝子はどうにもできませんが、生活習慣は今日からでも変えることができます。
少しずつでも、見直していきましょう。
最終更新日: 2020-07-21
タグ:
AGA・若ハゲの原因
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